2011年3月7日月曜日

あれから

1998年の11月。「チャンキー松本展」 

当時、生まれて初めての個展を天満橋にある「マニフェストギャラリー」でさせてもらいました。小さな会場の壁全面にアクリル絵具で描いた作品をただ並べるだけでした。たいした技術もないボクはとにかくパワー全開で見る人を圧倒させようとしていたのです。「チャンキー松本」という名前を世の中にアピールすることしか考えていませんでした。 

あれからほぼ毎年のように展覧会をさせてもらうようになりました。よく東京でやればイイのに、、と言われましたけど、そない大金を使ってまで、絵に自信もなければ、なによりも面倒くさいなあ〜と思っていました。 

ボクがお世話になったギャラリーのオーナーさんはみな親身になって作品の展示を共に考えてくれました。作家は日々の創作に必死で、展示するその締め切り間近には、展示にたいしてのクリエイティブなエネルギーが落ちていたり、ボクなどは膨大な量の前でどう整理すればいいのか?わからないわけです。そんな時にオーナーのみなさんがいろいろとアイデアを出してくれることに助けられてきたからこそ個展を開くことができたのです。 

最近になってやっと作品も売れるようになりましたが、以前はまったく売れませんでした。企画展なので売れなければギャラリーだって儲かりません。もうしわけなく感じましたが自分ではどうすることもできませんし、そのくせ毎年のように作風が変化してゆきました。自分の心の変化が露骨に作品に現れ、せっかく好評だった作風すらも壊してゆくのですから、それでは売れるはずありません。 

2011年2月。「おいてけぼりの町」 

今回もギャラリー「月夜と少年」のオーナー吉田夫妻と共に展示を考えました。作品の中身と展示との間にブレがない、気持ちの良い個展となりました。この「絵を読む」という展示方法は、お客さんが自分のテンポで絵に向き合えるように、と考えました。そこには「チャンキー松本」という存在が消えて欲しいと思います。絵と向き合うことで、自分の記憶を呼び起こせるような、そんな時間をお客さんに持って欲しいと思っています。 

あと2日間、楽しんでまいります。20日の最終日はボクのワンマンショーです。なんとなく描いたり、読んだり、唄ったりしますので、どうぞ遊びにいらしてくださいね。

プロ

プロという言葉には「前、先取り」などの意味があるようです。仕事などの効率を優先する場合にはこの先を読む力が必要となるでしょう。 

少し先を読んで行動すること、、すばらしい能力だと思いますが、ただこのプロを意味する「先取り」でもって対話すると大切なことを見逃すおそれもあろうかと思います。 

例えば、相手の言うことを先周りして「君の言いたいことはこうだね!」なんて口をはさむ経験が誰にでもあると思いますが、これは注意しなければいけません。話す人の「心の深い所」から浮かんできそうな言葉を聞く側が口をはさむことによって、それが引っ込んでしまうからです。 

心は「浮き」のように水面へ浮かびたいのですが、効率優先の日常では浮かぶことはできず沈みっぱなしです。心という「浮き」がポカ〜んと顔を見せるような、、そんな風景に出会いたいと思います。 

日常のテンポを少し落とし、今この瞬間から得れる、できるだけ多くのものをキャッチし、相手が楽に投げれるようにすること。 

浮かんでくる心を、、静かに待つこと。

おいてけぼりの町

そこはかつての私が暮らしていた町です。 
朝も夕日も夜も海も花も山も坂道も、、そのすべての景色にかつての私がいました。 

3年前の夏のことです。私は島根県にある小さな海の家へ訪れました。そこで私を待っていたものは日本海へ沈んでいく美しい夕陽でした。砂浜に捨てられていたボロ椅子に腰掛け、2時間ほど夕陽が見えなくなるまで、私は空を眺めていたのです。 

その年の春、家のベランダにはシンビジュウムの花が大量に咲いてくれたので、私は花へ感謝の想いを込めて最後の一輪が枯れ落ちるまで毎日、花を描き続けました。 

落ちてゆく夕陽を見つめることが、枯れてゆく花を描くことと自分の中で重なっているように感じました。 

大阪へ戻って、見てきた夕陽を絵に遺そうと絵の具で描いたのですが、どうもピンときませんでした。ちょうどその頃、たまたま友人から「貼り絵の先生をやってくれませんか」と言われ、試作品を作るとこれが楽しくて「そうだ!貼り絵であの夕陽を描いてみよう」と、夏から秋にかけて60点ほどの貼り絵作品が出来上がりました。 

そして2010年の夏、また友人から貼り絵の制作依頼があり、これがきっかけで再度貼り絵ブームがおこり50点ほどの作品が出来たのです。 

2010年は私の環境が一変しました。心おちつける場所をなくし、日々を忙しく過ごしました。この貼り絵を作る僅かな時間だけは、まるで瞑想でもしているかのように心を静めることができたのです。おちつきのない私の心に軽い「おもし」のような役目をしてくれたのが貼り絵でした。 

貼り絵に浮かぶ景色は私がおいてけぼりにした景色です。でもなにかの拍子に立ち止まった時、目の前に現れるような、、どこかで私を待ってくれているのでしょうか? 

その「おいてけぼりの町」では、今でも私が暮らしているかもしれません。 



 ボクの個展「おいてけぼりの町」が2月7日より20日まで大阪靭公園近くにあります「月夜と少年」というギャラリーで開催します。今回は「貼り絵」作品を展示します。ちょっと変わった展示方法で作品を見ていただきます。2月13日の日曜日は終日、誰でも参加できる貼り絵教室をします。参加費は500円です。2月20日はボクのワンマンショーです。夕方6時からちょこまかいろいろとやってみます。こちらは参加費1000円となります。気楽に遊びにいらしてくださいね。水曜日は休廊させてもらいます。

静けさ

先日のこと、滋賀県湖北で活動する若手農家組織「コネファ」のメンバー、清水さんから「冬の湖北もイイですよ。あたりは雪に覆われて、、雪がしんしんと降るのを見るのが好きです。」と聞いた時、冬の湖北に行って絵を描こうと思いました。 

人の顔を描く時、私はその人の中にある「静けさ」を描きたいと思っています。コネファのメンバーはみな楽しい人ばかりですが、絵のモデルになってもらうと独特の静けさを持っていることに気がつきました。ボクはその「静けさ」の源泉を見に冬の湖北へといったのです。 

雪に覆われた田んぼでは作業もできませんから、仕事中もゆったりとした時間が流れていました。田んぼにはたくさんの鳥がえさを探してる姿が見えます。土は静かに眠っているようにも思えますが、きっときたるべき春のために力を蓄えているのでしょう。 

この静けさの中に、新しい力が宿るのです。 

そのコネファと大阪アメリカ村にあるディグミーアウトカフェとの共同企画イベントが開催されます。「農場アート祭」と題して2月3日からコネファのメンバーや活動を写真にした作品やボクは30点ほどの絵を展示します。6日の17時からはメンバーたちとのトークショーに参加します。会場はマルシェあり、野菜を使った料理ありと楽しそうです。入場無料ですのでどうぞおこしくださいね。

2011年1月19日水曜日

おじさんたち

ある町の電気屋さんを通りがかって、その勢いもあって部屋を照らす電灯を持ってきてもらいました。天井に凹凸があって取り付けるのが面倒でしたが、電気屋さんがうまいこと付けてくれました。その電気屋さんがおもしろいことをボクらに話してくれました。

「電気屋って他人の家に入っていくのが仕事みたいなもので、お客さんと信頼関係ができたら色々とこちらに頼んできてくれるわけで、小さなことでいえばトイレの電球1個変えるだけとか、、老人の1人暮らしだと足を滑らすことだってあるからね。花を買いにいったこともあるなあ、、オレ花屋じゃ~ないんだけどね、、ヘヘヘ。引越しなんかもやったりするしね、、刑務所に勤務しているお客さんで、あの仕事って1年ごとに引越しでさ、オレだと引越し業者よりも値段は高いのに、ホラ、信頼してくれてるからさ、、だから忙しいんだよ。」

ちょっとだけ蛭子能収顔したおじさんはそう話してくれました。

外が薄暗くなって商店街を歩いてる途中、アンティークの時計がディスプレイされた店に入ってゆくと、奥から「なにかお捜しですか?」とメガネをかけたおじさんが現れました。店内には古いラジオが見えたものですから、ラジオのことを話題にすると色々と話をしてくれました。

「真空管っていうのはすぐに良い音はでないんだ。つけてから20分くらいしたら良い音になる、、うん、、人の体も同じようなとこがあるよね。趣味がこうじてこんな商売をしている、、凝り性だね。どんなことでも長くやってれば見えてくることがあって、それは全部に言えたりもするよね。」

真空管のラジオから流れる古いジャズの音がボクらを夢見心地にしてくれました。


「こないだある場所で紙切りをしていると横からボクに要らぬちゃちゃを入れてくる子供がいたのでボクは面倒くさいから、あっちいけよ!と嫌がりまして、、」とおっちゃん芸人さんに話すと、「チャンキーさん、それはつっこんでくれているんですよ。もったいないと思って、アドリブでかえせばいいんですよ。そのほうが場が盛り上がるじゃないですか」その芸人さんはニコニコと話をしてくれました。

教えてくれる人はいつだって近くにいてくれます。わざわざ教わろうとしなくても、自然と入ってくるのだと思います。

耳と目と心をひらいていれば、、

2010年12月27日月曜日

はり

数年前に、行く先々で人と話したことを録音していた時期がありましたが、その頃から対話することのおもしろさを知ることになりました。 

当時から尊敬する河合隼雄さんのカウンセリングの仕事を本などで読んでいた影響が大きいのですが、「個人の物語」を理解しようと、他者の心に「寄り添うこと」の難しさ、おもしろさを学び始めていたように思います。 

人の心に「はり」を持ってもらうこと、、他者となにかする時にボクが一番力を入れるところはここです。最初の「ボタンをかけた」そのポイントが重要だと思っています。話す時も同じく、対話する相手に「はり」を持ってもらうためには、その人の気持ちに寄り添うことが大切になろうかと考えています。 

しかし、いつも「はり」を持って生きていれたら幸せですが、大人になればたまにその「はり」もしなだれることだってあります。水や養分を与えてあげないとそのうち朽ちてしまいます。さらに成長すればするほど、それに比例して問題の壁が高くなるのですから、過去の経験が通用しない局面がいっぱいあるのです。 

そんな弱っている自分の心を知る時、ふっと思い出すことは、幼い頃のいろんなことに怯えていた自分です。あの弱い心が蘇ってくると、今もなんら成長していない自分の心が情けなくなりますが、でもそれで良いのだとも思います。そんな簡単に人は強くなれるわけではありませんから、、 

自分の心に「はり」を持たすためにボクは人と対話します。よく聞き、よく見て、少しでも相手の心を理解できたなら、対話することすべてが自分にむけられたメッセージのようにも感じれる時があります。そうして生まれた「鏡」こそが「裸の心」を映し出してくれるのかもしれません。

ポチポチやってます。

ホンマにひょん!なことから知り合いになったおばあさん。それが谷町6丁目にあるからぼり商店街で何十年と和紙の店を経営されている82歳になる「藤尾さん」です。 

10月の後半のある日のこと、、ボクはイイ感じの和紙が欲しいなあ~とハンズやシモジマなどに行ったのですが見つけることが出来ず、あきらめかけて家路にを辿っているとそこに「玉林堂」と名前がついた古いお店を見つけました。 

中にイイ感じのポチ袋がありまして、店番をされているおばあさんに 
「このポチ袋売れるでしょう。」と尋ねるとおばあさんは「いや~売れんわ。この10年売れんわ!」と言います。 

たしかに表から見ても、この店に入りたいなあ~と思わせるような店構えではなく、地味だし、商店街をよく歩くボクもこの店の存在を知らずにいたのです。 

「このポチ袋の絵柄はすべて手刷りやし、それにしては値段も安いんやけど、、売れんわ、、この店も年内で閉めるから、大安売りでもしようか、、と思て、、もう赤字になるけどなあ。」 

「え~それはアカンよ!こんな感じのかわいいポチ袋、若い人は好きやし、売れるって!よし、ちょっと待ってて、ボクが売るわ!」 

それからしばらくして、ルームメイトのデザイナー「弓削さん」と店を見学して、12月なかばから「ポチポチ祭り」と題して1週間「玉林堂」を盛り上げるイベントを作ろう!となりました。 

その期間中に店にある紙を使って作家さんに作品制作をしてもらおう!と毬作家の「布仁美さん」に千代紙を使った毬を、イラストレーターの「玉村ヘビオさん」の特技である「折り紙教室」、墨絵イラストレーターの弓削ナオミさんに「墨絵教室」、書道家「加泉さん」に自分の名前を筆で美しく書く「書道教室」を開くことになったのです。 

藤尾さんはお若く見えます。とても82歳とは思えません。お若い頃、戦時中なのにけっこう裕福に暮らしていたようで、まあ~いってみればお嬢さま育ちかもしれません。いろんな趣味を持っていてダンスに絵に書にと芸術家肌のようですし、店の商品もポチ袋以外には和紙や筆など高価なものばかりです。でも掃除が行き届いていないので中は埃まみれでした。それをイベント2日前には弓削さんと2人で掃除して商品や作品を設置しました。 

ポチポチ祭はすでに始まっています。今週の土曜日18日には様々な教室も開催しています。ボクも似顔絵切絵で参加します。どうぞ遊びにいらしてくださいね。 


ポチ袋もそうですが、年の瀬らしい企画をもう一つ紹介します。妻のいぬんこの絵を使ってデザイナー弓削さんがあなたの年賀状を制作します!という企画です。ご興味のある方は是非こちらにアクセスしてみてくださいね。 

http://inunco.blogspot.com/2010/12/blog-post_10.html

2010年11月30日火曜日

ふぉとけもじ

青空亭のけもじ写真展が広島県福山市の「薔薇と迷宮」というお店で27日から始まりました。週末の28日には「なまけもじショー」をしてきました。尾道からもたくさんの友人も遊びにきてくれて、楽しい時間を過ごしてきました。 

さて、好評のけもじ写真集「home」の在庫も残り僅かとなり、明日1日から始まる大阪梅田ヘップホールでの写真展、「アルバムexpo」で売り切れちゃうかも、、です。思えば今年4月に届いた本の量を見て、売り切れるのには何年もかかっちゃうのかな?との予想をくつがえす結果の大ヒット、、となり驚いているとこです。 

4月から毎月のように各地での展覧会は計9回を数えました。毎回たくさんのお客さまが見にきてくれ、けもじ写真というこの世に存在しないだろう奇妙な作品をおもしろがってくれる人が多いことにも驚きながらも、やっぱり「めっさおもしろいものは誰が見たっておもしろい」という当たり前のことにも気づかせてもらったのです。 

12月2日には「アルバムexpo」で今年最後の「なまけもじショー」をさせてもらいます。今回は東京からイラストレーターの福田利之さんのこれまたおもろい「フォト絵」とのドッキング!で「ふぉとけもじショー」と銘打ってパフォーマンスとなります。 
http://thanks-album.com/expo-osaka/event/kemoji/ 

このところのライブでは「他力」をどう力にするのかを考えています。「なまけもじショー」も最近はじめた「切絵ショー」でもお客様の力をお借りするようになりました。ライブは自分の芸の発表会でなく、お客さんに喜んでもらってやっと成立する場ですから、一方的な我力ではバランスが悪いのです。お客さまに遊んでもらえる「隙間」が必要です。ボクのようなお気楽な芸にはなおさら隙間がなければいけません。 

2日は福田さんが入ることでどんなパフォーマンスになるのか?楽しみです。ボクは横になって寝るだけですから、いぬんこは大変なのですが、、もうしばらくは見ることがないだろう「なまけもじ」です。どうぞ遊びにいらしてくださいね。必見です! 

そして福山の展示は12月11日まで、、お近くの方は遊びにいってくださいね。いぬんこグッズも販売しています。この2つの展示が今年最後のけもじ展です。しばらくは休憩したいと思っています。

2010年10月20日水曜日

あきんど

今は東京にいます。 

昨日から東横線「学芸大」という駅から歩いてすぐのギャラリー「モノグラム」でけもじ写真の展示をさせてもらっています。 

もう10年以上もさまざまな場所で個展などの展示をしてきましたので、この場所ならどう展示すれば良いのかがわかるようになってきました。ましてやけもじ写真展は今年で7回目ですから展示もそない悩まずにできるようになりました。 

今回の展示ではボクのエッセイなども取り入れ、春から秋にかけての青空亭の日常が見えるようなものになっています。今年のボクらは慌ただしい日々なものですから落ち着ける時間がありませんので、こうして自分たちの作品を展示して振り返っているようにも思えます。 

先週は大阪城での「中村座」の会場にて「五軒長屋の江戸職人」の1組として切り絵やら絵草紙などの販売をしていました。毎日たくさんのお客さまでいっぱいの中、せまいスペースに2人で並んでの商売でした。お客さんの方が中村座のことに詳しいので、いろいろとリクエストを聞いて、それを切り絵にして販売をさせてもらうと当たり前ですが売れます。商売ってそういうことですね。今頃になってそんなことに気付かされるのですから、、おもしろいです。 

けもじ写真は「アート」ですから、ボクらの世界にお客さんが入ってもらって楽しんでもらえるもので、「商売」はボクらがお客さんの中へ入って生まれるものです。ちょっとコースが違います。でもどちらであって、おもしろいものでなければお客さんは興味をしめしません。そんなわかりやすいことが好きです。 

週末の23日、24日はお昼1時よりモノグラムの会場で似顔切り絵をやっています。ご興味あればお立ち寄り下さいね。


2010年10月19日(火)〜 2010年10月31日(日)
けもじ写真集「home」発売記念写真展
学芸大学 写真店「モノグラム」
〒152-0004 東京都目黒区鷹番2-19-13 03-3760-5852
東急東横線「学芸大学」東口より徒歩約1分
OPEN:11:00〜20:00(水曜定休)
http://monogram.co.jp/index.php

2010年10月2日土曜日

朝、魚崎駅からポートアイランド行きのマリンライナーに乗っていると、少し離れたところに20代前半の男性で、髪型はパンチパーマぽく、黒いトレーナーにグレーのスウェットパンツを履いている人を見かけました。とくに目立つわけでもありませんが、ボクの視界の隅に入ってきたのです。 

夕方5時過ぎ、魚崎駅からの阪神電車の中でまたその男性が斜め向かいに座っていることに気がつきました。なんとなくですが、向こうの男性もボクに気がついている風でした。 

なぜ、視界の隅に入っていたその男性の絵だけが記憶されたのでしょうか?いろんな人を目にしていたはずなのに、、視界の隅、、案外そんなところをボクらは記憶しているようにも思えます。隅の方の色や汚れ、目立たない小さな動きなど、、隅好きな人って多いようにも思うのです。 

強く意識するよりも、なんとなく力が抜けているのが隅だと思います。主役ではなく脇役な感じ、、でもそんな隅にある記憶、イメージのカケラが次にやってくるだろう大きないイメージへの入口だったりしませんか? 

はじまりはなんとなく、、力が抜けている方が後の伸び率が高いような、、おもしろがれる気がするのです。だからといって隅を意識したらそれはもう隅ではなくなるのだから、、難しいものですね。

感動

精神分析家「北山修さん」の本の中の一節、、 

数字に巻き込まれちゃいけない。すくなくともカウンセリングをやろうという人たちは。相手は1人です。1人を感動させればイイんです。 

この言葉は芸術にもいえるのではないでしょうか。この気持ちが作家の心の奥になければつまんないと思うのです。結果、どんなに売れようが、売れまいが、、 

本の中で現代は「裏が無くなってきている」とありました。心の裏、、裏にあったものがどんどん表に出てゆく。こういう文章も以前なら裏にあったものですが、自分でこうして表にだしているわけです。 

絵を描くことは「心の裏」を形にすることです。芸とは裏の世界を表に「素敵な形」として出すことだと思います。 

誰にも裏腹な心があり、その心と付き合って生きている。やっぱり人っておもしろい。だから少しばかり腰を据えて人と話す時間を持ちたいなあと思うのです。 

人も、芸術も、感動したいから知りたくなるのです。

2010年9月29日水曜日

のぼるくだる

魂を磨くために、ある高みに挑戦してゆく。自分の山を登ってゆくように、、

数日前のこと、今夜いっしょにライブをさせてもらう「オニちゃん」と話していて、こんな若くしていろんなことに気がついて、ある高みにまで自分を持ってゆこうと格闘している人と同じ舞台に立てることは幸せだと感じました。

物凄い早さで高みを目指し、強烈な印象を世に与えるのが天才の使命なのでしょう。

夕べ、友人の西田さんと話していて「ここにきて登ってゆくことよりも下ってゆくことから、そこにどんなおもしろさを見つけてゆけるのか?」という話になりました。

ボクはやっと下ってゆく時に方向を変えるのです。登ってきた過去も、降りてゆこうとする未来も、今のボクには同じようにも感じれるから不思議です。

登ってゆくオニちゃんと下ってゆくボク(33)が今夜、同じ舞台にたちます。どんなライブになるのかはボクもわかりませんが楽しみです。大阪阿波座にあります「マーサ」にて夜7時開演です。どうぞ遊びにいらしてくださいね。

2010年9月18日土曜日

化身

いろいろと動き回る日々が続いており、毎日様々な役を演じている気分になります。ある時は絵描き、ある時はバイトのホール、ある時は紙切り芸人、またある時は先生、たまに唄ったりなどなど、ころころと変化している自分をおもしろがっている自分がいます。 

昔、レインボーマンというヒーローものの子供番組がありまして、ボクはそのレインボーマンにとても憧れていました。火の化身、水の化身、樹の化身、、と7つぐらいのキャラクターに変化してゆくヒーローですが、今のボクの日々はまさにレインボーマンだな、、と思っています。 

きっと誰もがいろんなキャラクターを演じ、出会う人によって変化させているのでしょう。「素の自分」ってよく聞きますが、さてそんなものがあるのだろうか?あったとしても「素の自分」は、なまけもので、弱くて、わがままなで、、そんな「素の自分」など蹴飛ばして、この世界へ飛び出し様々な化身となって生きることを選んだのです。 

さて、今日の夕方4時前後から大阪船場にあります本屋「colombo cornershop」にて似顔切り絵をやっております。同時にこの本屋と並びの服屋に住み着く猫の「マイケル」をボクが描いた絵を展示販売しております。参加された方には自家製レーモネードをサービスしております。どうぞ遊びにいらしてくださいね。 

今日は切り絵師の化身となってきます。