いぬんこが蝶の亡がらを「きれいだから」と持って帰ってきた。それをテーブルに置いて眺めてたり写真にとったりしていた。夕方になって近くの公民館で「六カ所村ラプソディー」という映画を無料で見せてもらった。二時間近く立っていたものだから膝と腰が痛くなって、家に帰ってきたら二時間ほど寝てしまった。
起きるといぬんこがwiiで身体検査のようなことをしていた。二人ともに太っていることがわかった。外食やら飲み会が続いたせいだろう。なんとなく遠くにあるスーパーまでウォーキングした。
今夜、ユーチューブで見たのが「キューブラー・ロス」の映像だった。彼女の言葉で「人が死ぬ時はまるで蝶がさなぎから抜き出て飛び立つ瞬間のようだ」とある。晩年のロスは病に倒れ、動けない不自由な生活を強いられることになった。ロスは「『愛を与えること』はやってきたけれど、人生の終わりにきて『愛を受ける』という学びをすることになった…」と話していた。
風呂に入りながら思い出したことがある。今年の初夏あたりか?夕方、大阪の天満を歩いていた時のことだ。道を少しだけ間違ってボクら三人は細い路地を歩いていた。すると前の方で二人組のおっさんが立ち話をしているのが目に入った。
近くまで行くと、一人のおっさんがボクに近寄り話かけてきた。それもスペイン語?の挨拶のような言葉で。よく見ると数年間までボクが通っていた天六商店街にあった、お惣菜屋のご主人だった。
「おひさしぶり!」とお元気そうだ。でもたしか体調を崩されてお店を閉めたはずなのに、、えらく顔色も良いし、、「そうそう、あの店は閉めたんやけど、数ヶ月前からここで店を始めたんです。それにはわけがあってね、、ちょっと時間いいですか?」店先には、なすの漬け物や残ったお総菜が見えた。
「足の病気でね。前の店は続けられんようになって、、で、ある大きな病院に通院していたんです。そこで先生にこのままでは治らん、足を切断するしかない、と聞かされたんです。さすがに落ち込みましてね。でもなんかあきらめきれんで近所の接骨院へいって相談しにいったら、そこの先生がもいっぺん足の検査をしてくれたんですわ。すると先生が『◯◯さん、足は切断せんでも治りますよ。もう一度だけ他の大きな病院で見てもうてください。』というてくれてね、、また何件か別の大学病院で検査を受けたんです。
でもどこも『切断しかない』と言われてしもうたんです。そのことを言いにまた接骨院へ行くと先生が『これは筋肉の問題なんですよ。よし!ほなウチで治します。治療とリハビリしていきましょ』というてくれたんです。藁をもすがる思いで、、治療に専念しました。すると驚くことに1年後に足が動くようになったんです。」
笑顔でその話をしてくれていたご主人は「ちょっと待って!」と店の奥からあるものを持ってきました。それは数枚の写真でした。写真には田んぼで作業をするご主人が映っています。
「今では畑作業も出来る足に戻ってね。畑で出来た野菜を漬け物にして、この新しいお店で出しとるんですよ。もしもあのまま足を切断してたらと思うと、、ホンマ今は楽しくて仕方ないんですよ。」別れ際、ご主人はボクに漬け物を持たせてくれました。「松本さんもがんばってくださいね」と言って、、
人は生きながらにして、生まれ変わることもあるんだ。
まるで蝶のように。
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